−老いたる者をして静謐の裡にあらしめよ
そは彼ら心ゆくまで悔いんためなりー 中原中也 「空しき秋」第十二
12月、20時の虚空(そら)を仰ぎ
振り上げられた鈍器のような気配に
たがわず現実は
いまわれここに在ると知る
過去(すぎゆき)のみ空の群青をおもえば
『北一輝』1冊行方も知れず
熱閙に泡だって
失いし日々と重ねる
行人のシルエットは
あやかしげな電飾(イルミナシオン)に浮きあがり
時代と交差してながれてゆくか
車窓を過ぎる明滅は
輝ける闇の正反動のように
軽佻の色彩を奏で終息(やま)ない
これが現在(いま)、ROIKAを待ちながら
さむざむとたばこをふかし
弔旗立つ闇の中の闇を見すえる
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